中世のパターンブック - ヴィラール・ド・オヌクールのスケッチ



現在パリの国立図書館に所蔵されており(ms.fr.19093)、33枚の羊皮紙シート(16x24?)から成る)「Vilars dehonecort」は、パターンブックの著者が自身の為に記録したものである。ピカルディーのオヌクール出身のヴィラールは、おそらく事業の統括工匠(artifex)であり、そして、彼は、1220/1230年頃の、カンブレー、モー、 Vaucelles 、ランス、ラン、シャルトル、ローザンヌ、及び、ハンガリーへの旅の途上でそのスケッチを描いた。彼は、後にそれらを一冊(livre:仏)に集め、主題別に構成し、説明的な注釈を添えた(13世紀の間に部分的に彼自身によって、部分的に他の二人の工匠によって書かれた)。

そのシートのうちの13枚は、その世紀の内に失われた。現存する325枚の図面の3分の2は、人物(163枚の図面)と動物(62枚)を表現したもので、残りのものは、礼拝用の備品と器具の図面、教会の立面図と平面図、そして建設に関する幾何学の4枚の図面である。茶色のペンの図面は、最初に鉛筆と(建物の図は)溝跡でも、羊皮紙にスケッチされた。ランス、ラン、シャルトル、ローザンヌの元の構造とまだ比較することが出来るその図面では、Villard がその建物の形を、彼自身の構成幾何学の理解に従って変え、そしてそこにあったものを一部要約したことが、明白である。

彼の描写的な図面は、彫刻、挿絵、ガラス絵画の図像学の分野に属している:キリスト教徒の像、寓話、教会の擬人化、法廷と試合の場面、賽子で遊ぶ者たち、そして裸像はもとよりライオンとの格闘も(おらく古代ギリシア、もしくは、ローマの彫刻から引き出された)。作図の補助手段としての幾何学的な形状のたくさんの動物たちの表現は、動物寓話集、あるいは、特に12世紀に、アレキサンドリアで記録され、写され、配布された、神話上の動物に関する表現の慣例に従っている。。多くの点でヴィラールのスケッチは、その時期に使われた計画手法への更に深い洞察のための史料である。それらは、特に、ランスの大聖堂(それは、その分節化されたピア、トレーサリー、そして彫刻の計画、が故に、盛期ゴシックの発達において、極めて影響力がおおきかった)の場合に参考となる(建設計画の包括の為の計画と技術(1211/1233)と13世紀の中頃のランスのパリンプセスト(羊皮紙)の点で)。


A B
C D
E F
G H

棟梁のパターンブック

ヴィラール・ド・オヌクールによって1220年/1230年に描かれたパリのパターン・ブックには、ランス大聖堂の聖母礼拝堂のエレヴェーションが取り上げられている。Sheet30は、外部のエレヴェーション(A)を、Sheet31は内部のエレヴェーション(C)を示している。この礼拝堂は、1211年-1220年に建てられ、現存する最も古いトレーサリー窓の1つを持つ。Sheet10は、ランの大聖堂の西側の搭の一つのエレヴェーション(G)の図(短縮遠近法で描かれた)である(ランと同じ搭を他の場所で見たことがない)。Sheet31にはランスの大聖堂の身廊のベイの内側と外側のエレヴェーション(B)がある(内側と外側の関係を明確にする為に並べて示されている)。フライング・バットレス(E)とヴォールト、まだ建設中であった。Sheet32は、ピラーと輪郭の詳細(D)を示している。Sheet15の2つの平面図の上のものは、CorbieのVillardとPeterによって共同してデザインされ、下の平面図はモーのSaint-Faronを示している(F)。Sheet29で、ヴィラールは、内陣の端部の為のデザインを描いている(H)。


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