テオドリクの霊廟のモノリス(一枚岩)


霊廟(mausoleum)は、一つ以上の墓を収容するための葬儀モニュメントである。初期キリスト教徒建築において、その言葉は礼拝の備品がない記念碑的墓を指した。そしてそれは半地下の時代にはハイポゲウム(hypogeum)と呼ばれた。

ラヴェンナのテオドリクの霊廟は526年の彼の死の前にオストロゴス(東ゴード族)の王の為に建てられた。この集中形式の構造物は、建築的に、粗削りのドーム屋根ゆえに有名である。それは現在、南面に長いひびが入っている。それは約1mの厚さがあり、直径は10.9m以上である。そして推定300トンの重さがのしかかる。

ドームの内側では、巨大な中央の円盤が、赤色と緑色で描かれ、宝石で装飾されたたモルティース (Maltese) 十字架を携えている。

外側では、12の重厚な長方形の穴の開けられた突出部がそのドームを丸く囲んでいる。それらには8人の使徒と4人の伝道師の名前が記入されている。それらは次の順に置かれている。
SCS PETRVS, SCS PAVLVS, SCS ANDREAS, SCS IACOBVS.SCS IOHANNES.SCS FELIPPVS, SCS MATTEVS, SCS MATHIAS.SCS MARCVS, SCS LVCAS.SCS THOMAS, SCS SIMEON.それらは時に、これらの碑文が霊廟の建設後に作られたとされてきた。

石屋根の頂上の円盤はモノリスの上に3.75m突き出している。そしてその中央には、長さ0.75m、幅0.55、高さ0.30mのブロックが見られる。これの周りには、(今日そこで見られる十字架とは全く違った)装飾として6つの長方形のみぞが切られていた。

テオドリクのモノリスの選択は巨石文化の時代に遡る彼の生誕の地の墓との関係を示しているのかもしれない。そして特に塚の(tumuli)のある葬儀室の屋根を葺いた巨大な石材に関して、ともあれ、この巨大な石材は権力と武力の誇示には違いない。そしてそれは、神聖な天空を暗示する。内側の描かれた十字架は、恐らく彼自身がキリスト教の神性の守護のもとに置かれたいという統治者の願望を反映している。

テオドリクの霊廟


テオドリクの壮大な墓あるいは円形の建物のドームの細部。ラベンナ (Ravenna) 。6世紀の初め。
この一枚岩のドームは、コーニス(軒蛇腹)のレベルで不思議な装飾的な帯で飾られている。巨大な石のブロックで作られたこの葬儀用建造物に特有の表情を与える。

参照

THE EARLY MIDDLE AGE
from late Antiquity to A.D.1000
XAVIER BARRAL ALTET
第4章 ゲルマン民族的建築

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