ファサード:トライアンフルアーチ  

1100年、間もなく、ロマネスク様式はその円熟期に達した時、彫刻装飾は教会のファサード全体に充満し始めた。ロマネスクの彫刻家たちは、この様な注目に値するモニュメンタルなファサード(それらは凱旋門や都市門のようなギリシャ・ローマの古典時代のモデルを基礎とした) を苦心して仕上げた。

エントランスポーチは、単純に、凱旋門(チビタ・カステラーナでの様に)やコラムに載る祭壇天蓋(ciborium)(モデナ、クレモナ、ピアチェンツァ、或いは ヴェロナのサンゼーノでの様に)を真似て造られた。コラムのベースは、そのような場合、度々、その爪の間に獲物を捕らえた横臥するライオンで装飾された。:その獲物は、通常は人間、或いはラム、雄ジカ、他の動物である。このようなライオンは、聖所の保護者としての象徴的な役割を担っていた。

古典時代の影響は、積層したレリーフ装飾にも明瞭に現れている。我々が、ガロローマ時代の Beaujeu のまぐさで知る様に、ロマネスク時代の彫刻家は、古典の彫刻の要素を再使用した。彼らはまた、ニーム大聖堂の例で明白であるように、古典風の石棺に、フリーズを構成して描いた。アルルの聖 Trophime の西の玄関(ポータル)は、アーキトレーヴとフィリーズの構成を示す (コラムの間に像を持つ柱廊を模倣してデザインされた)。モニュメンタルな彫刻が施された、ロマネスク様式の外観は、12世紀まで完成に至らなかった。

カタロニアの Ripoll のファサードの形態と構成は、特有なロマネスク様式のファサードの輝かしい時代の明快な証となっている。その玄関は、凱旋門の形をしており、コーナーのコラムの段積と連続するフリーズによって強調された、二つの上位の区域を示している。その石のブロックは、一つ一つがモルタルなしで積まれている。上の区域には天使、四福音書の著者ヨハネとマタイのシンボル、そして黙示録の24 人の長老に囲まれたキリストが示されている。これは、ローマの図像の主題の(それらの目的は皇帝を美化することにあった )のキリスト教的変移である。更に、 抱き(枠)の12 使徒ペテロとパウロの像は、印象的な丸彫りであり、(肩から下は)コラムの一部となっている。それにもかかわらず、それらは、荷重を受けていない。;それらの目的は、構造にあるのではなく、図像的意味にある。

この傾向は、特に、Saint-Gilles-du-Gard のモニュメンタルなファサードに明瞭に表れている。そのオーダーは、ローマの凱旋門のそれから得られている ( 注意深く配置されたコラムと彫刻の列に置かれた三つの玄関に関して)。その作品の古典様式風の表情は、特に彫刻を頂く柱形とコラムとエンタブラチュアによって構成される柱廊によく表れている。中央玄関のティンパヌム ( ロマネスク時代のティンパヌムの17世紀のコピー ) は、キリスト権威と福音伝道者のシンボルを示している。;両側の玄関のティンパヌムは、それぞれ、神の顕現と磔を示している。サン-ジルのファサードは、古典の遺産(ロマネスク時代の彫刻家が勝利の教会への寄進として取り付けた) の合成である。

古典様式の復活

Saint-Trophime。アルル。西の玄関。1180年頃。柱廊の彫刻コラムは、イエスの弟子の像を模している。その装飾は、ローマの建築装飾のレパートリーである。
古典様式の遠近法の効果

Saint-Gilles-du-Gard。 中央玄関。12世紀末。中央玄関は、エンタブラチュアの突き出し部を載せたコラムにより、強調されている。

参照

THE ROMANESQUE
Towns,Cathedrals And Monasteries
XAVIER BARRAL ALTET
第3章

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