マームーン/al‐Mamun 786‐833
アッバース朝第7代カリフ。在位813‐833年。イラン人の女奴隷を母にもち、東方諸州の総督となったが、809年の異母弟アミーン al‐Amin(787‐813)のカリフ即位後、両者間は険悪化、内乱となり、813年バグダードを占領してカリフ位についた。

建築
国内の反乱の鎮圧に努力する一方、バイト・アルヒクマ(知恵の館)を建設してギリシア文献の翻訳事業を推進した。(当時の建物は残っていない)


バイト・アルヒクマ/Bayt al‐Hikma
〈知恵の館〉を意味するアラビア語で、9世紀にアッバース朝カリフ、マームーンによってバグダードに建設された研究機関。その主たる目的はギリシア語による哲学・自然科学の書物の収集と、それのアラビア語への翻訳であった。ササン朝時代のジュンディーシャープールの学院の伝統を受け継いだもので、カリフ、ハールーン・アッラシード時代の〈知恵の宝庫ヒーザーナ・アルヒクマ Khizana al‐Hikma〉という図書館が直接の前身となっている。翻訳官の大部分はネストリウス派のキリスト教徒であった。サムータジラ派の合理的思弁神学を否定し正統派神学に戻ったカリフ、ムタワッキル(在位847‐861)の時代に〈知恵の館〉は自然消滅したが、王侯が図書と学者を集めた学院(マドラサ)を設立するという伝統は残った。



05/10/10
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