Samarra/サーマッラー
イラクの首都バグダードの北西約110kmのティグリス川左岸に位置する都市。アッバース朝時代に第8代カリフ、ムータシム al‐Mutasim(在位833‐842)によってバグダードからここに政庁が移され,約50年間(836‐892)首都として栄えた。
都城址は1910-14年にヘルツフェルトの指揮のもとにドイツ調査団によって発掘された。遺構としては、カリフ・ムタワッキルが建てたアッバース朝最古のイスラム最大の規模を誇る煉瓦造の多柱式モスクとそのらせん状ミナレット(マルウィーヤ)、アブー・ドゥラフのモスク、世俗建築としてカリフの宮殿・邸宅であるジャウサク・アル・ハルカニー、バルクワーラー、カスル・アルアーシクなどがある。各遺跡から発掘された陶器などの出土遺物は製作年代がほぼ明らかであるため資料的価値は高い。また宮殿や邸宅を飾っていたしっくいの腰羽目に表された葡萄唐草など各種の植物文様はイスラム独特のアラベスクに発展する過程を示している。  

サーマッラーの航空写真
/図版出典:Islam vol.1 Taschen
サーマッラーの植物文様
/図版出典:Islam vol.1 Taschen

関連サイト:
http://www.dur.ac.uk/derek.kennet/plan.htm→サーマッラーの遺跡分布地図


05/10/16修正
inserted by FC2 system