サーマッラーのモスク/Mosque in Samarra (The Mosque of al-Mutawakklil) 849(847?)-852
サーマッラーに、アッバース朝第10代カリフ、アル・ムタワッキルによって849-852年に建てられたモスク。外からは、44本の半円形の塔によって分割された城砦のように見える。周壁が囲むエリアは240×156m、10エーカー(4ha)で今日でも世界最大のモスク。構造は焼成煉瓦造で、コラムは化粧しっくいが塗られ、ミフラブのエリアは、ガラスタイルや象牙などで覆われていたと考えられている。有名な付属のミナレットは、マルウィーヤあるいは「カタツムリの殻」と呼ばれている。囲い地の北の縦軸上に置かれてたそれはキブラの壁の反対側に位置する。55mの高さのこのミナレットは丸い階段のような塔形でその周りには頂上に繋がる螺旋状斜路がある。「バベルの塔」やバビロニアのジグラッドのイメージを想起させる。

その外観は要塞の様に見える。その周壁には、13箇所の入口がある。煉瓦造の8角形の柱で支えられた平らな木造の屋根に覆われていた多柱様式の礼拝堂であった。

大モスクの平面図。モスクはジヤード(或いは、都市の喧騒から礼拝堂を保護する緩衝域)を形成する2つの壁で囲まれていた。ジヤードの外側の壁は470×400mのエリアを被っていた。

マルウィーヤ(カタツムリの殻)状の奇妙な形状を示す航空写真。日に5回、信者に呼びかける為に、サマラの礼拝告知係はこのミナレットの螺旋斜路を登らなければならなかった。

サマラの大モスクのマゥウィーヤ・ミナレットの立面図と平面図。渦巻き状の斜路は地上55mの高さに達する。その奇妙な形はバビロニアのジグラットに由来すると考えられている。

図版出典:Islam vol.1 Taschen

関連サイト:
http://www.dur.ac.uk/derek.kennet/mosque.htm
http://maps.google.com/maps?q=iraq&ll=34.206044,43.879534&spn=0.005361,0.009836&t=k&hl=en →衛星写真

05/10/16修正
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