Scallop/スカラップ(装飾)

(帆立貝、学名Patinopecten yessoensis)は、ウグイスガイ目 イタヤガイ科に分類される殻径が20cmほどになる二枚貝の一種。


神話

帆立貝はその女性性器の陰門をイメージさせる形状から、多産・繁栄・豊穣・安全を象徴する太古の地母神崇拝と結びつき、ギリシャ神話ではアフロディーテの象徴となった。アフロディーテは、古代シュメール文化のイナンナの系譜にあり、バビロニアのイシュタル、シリア、フェニキアのアスタルテ、アラビアのアトタルと同一視される。
ローマ神話のウェヌス=ビーナスはギリシャ神話のアフロディーテが同一視されたもの。ビーナスは帆立貝の他に、月、金星などで象徴される。

建築装飾

帆立貝状の装飾はローマ帝国の建築には、神々の彫刻が置かれたニッチのキュドフォーの装飾として使われ、同時代のユダヤ教のシナゴーグでもトーラ・ニッチでローマの神殿と同じ形状のニッチを飾る、さらにイスラーム建築では、ミフラブを飾る装飾として多用される。またサンチアゴ・デ・コンポステラ教会の聖ヤコブの伝説から帆立貝はヤコブの象徴としてキリスト教の建築の装飾のモティーフとしても、用いられる。ルネッサンス様式建築やバロック様式建築においても主要な建築装飾のモティーフとなっている。

イスラーム建築の装飾部位として

イスラーム建築において、ローマ帝国時代に神殿の神々の像を飾るニッチの装飾として採用されたスカラップは、同じ形状でミフラブのニッチの装飾として採用された。その形状は応用され、スキンチアーチの装飾となり、さらに発展しムカルナスの原型となる使用法がされている。またその貝殻の端部の連続した円弧の形状は、独立して多弁アーチに発展し、その平面形は馬蹄形アーチの起原と目される。
偶像崇拝を厳しく禁止したイスラーム教では、アラベスク模様や筆跡模様が代表例であり、特別な例を除いて動物や人物が登場することはないが、帆立貝は例外的に多用される装飾部位である。その背景には、イスラーム以前の太古の地母神崇拝と深く結びついた女神のイメージ(アフロディーテ、アスタルテ、シュタル、アトタル)との関係があるのではないだろうか?前イスラームのアラビアの女神アトタルは、愛と豊穣と戦争の女神であることから、ジハードのイメージと同一視された可能性を含んでいる。ムハンマドの最愛の妻であったアーイシャ(ムハンマドの言行(スンナ)に関する多くの伝承を後世に伝えた)はその顕現化に思われたかもしれない。

関連サイト
http://en.wikipedia.org/wiki/Scallop

05/12/27
 
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