Venus/ビーナス


ビーナスVenus(英語)は古代ローマ時代の女神ウェヌス(ラテン語)に由来し、さらに古代ギリシャ時代の女神アフロディーテ(Aphrodite)と同一視された女神。ギリシャ・ローマ神話によれば、ゼウス(ユーピテル)とディオネの娘。豊穣の女神であるが、原則的にの三位一体の形で現れる(月・海・多産)、帆立貝Scallopはビーナスを象徴する(イメージシンボル事典/大修館書店)。

この女神の原型は、太古の地母神崇拝が起原とされ、最古の〈ビーナス神話〉はシュメールの女神イナンナ Inanna と男神ドゥムジに関するもの(イナンナの冥界下り)。この神話はバビロニア、アッシリアへ伝えられ、女神イシュタルが男神タンムズ(シュメールの〈ドゥムジ〉がなまったもの)を探し求めて冥界へ下る物語となった(イシュタルの冥界下り)イナンナ=イシュタル=地母神)。この神話は初期メソポタミアで明確な形をとるようになり、後にシリア、東地中海地方に広がった。この女神はシリア、フェニキアではアスタルテ、アシュタロト(複数形)と呼ばれ、本来の地母神的性格は薄くなり、愛と美の女神としてしばしば裸身の処女の姿で表現された。旧約聖書では、アシュトレトと呼ばれる。この女神はキュテラ島あたりを経由してギリシアに伝えられ、アフロディテと名を変えた。この名の語源は明らかでないが、〈泡〉を意味するギリシア語〈アフロス aphros〉に由来するとの民間語源説から、海の波間から生まれるビーナス=アフロディテという新たな神話が生じた(世界大百科事典/平凡社)。

ウェヌス(ビーナス) 金星 アスタルテ
写真引用:Mothergoddesses


イナンナ→イシュタル→アスタルテ→アフロディーテ→ウェヌス(ビーナス)の系譜の中で同一視された女神たち

ウェヌス(ビーナス) Venus ローマ神話の美と愛の女神で、ギリシアのアプロディーテと同一視される/本来は菜園の女神/金星を司る
アフロディーテ Aphrodite ギリシャ神話におけるオリンポス十二神の一柱で、愛と美の女神/クロノスにより切り落とされたウラノスの男根が海を漂い、その時の泡から生まれた/金星を司る/鍛冶の神ヘファイストスの妻となったが、軍神アレスと情を通じて愛神エロス、ハルモニア等を生んだ。
アルテミス Artemis ギリシャ神話におけるオリンポス十二神の一柱で 狩りの処女神/ 男を嫌い 結婚を嫌った/ゼウスとレトの娘で, アポロンの双子の妹/後に月の女神セレネと同一視されローマ神話ではディアナに対応する
アスタルテ Astarte シリア、フェニキアの豊穣の地母神のギリシャ名/イシュタルが原型/パレスティナではアスタルテが最有力女神でときに最高神エールの配偶女神アシェラと同一視された
アスタロト アスタルテの複数形
アシュトレト Ashtoreth 豊穣多産の地母神アスタルテの旧約聖書における別称/ 暗に "恥" の母音を含んでいる
アストレト Astoreth エジプトの豊穣と戦いのの女神/ 女性の体とライオンの頭をしている
イシュタル Ishtar バビロニア、アッシリアの愛と豊穣及び戦争、金星の女神/アラビア語でアトタルAthtar?
イナンナ Inanna シュメールの女神イシュタルの原型
アナト Anath カナン、エジプトにおける地母神/ 男神バールの妹であり妻/誕生と死を司る "天界の女王" と呼ばれ、生命は血液によって新たな誕生に伝わるという思想から多くの人間の生贄が捧げられた/アテナと同一視されることもある

関連サイト
http://www.matrifocus.com/IMB04/spotlight.htm
Mothergoddesses

05/12/17
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