小プリニウス ( 62-114 ) 、彼のヴィラを語る
彼の書簡(Book U. 17)の中で、プリニウスは、文通相手であるGallusの親切な行為、即ち彼のラウレントゥム(オスティアの近く)のヴィラへの訪問、に関して、ヴィラの様々な特質を挙げながら、述べている:
『その家は、私とっては十分に広いが、管理するのに手間がかからない。 それは、質素ではあるが品格を失っていない、ホールへ通じている。そしてそこには二つのDの文字のように湾曲した二つの柱廊がある。それは小さいが快適な中庭を囲んでいる。これは、窓そして迫り出した屋根によって保護された、悪天候の時の素晴らしい避難所になっている。
その反対側の、中程には、ウキウキさせる内部ホール、その上、実際少しばかり上等の食堂がある :それは、海岸の方へ外へ伸び、そして、波が南西の風によって内陸側に動かされた時はいつでも、それは、砕け散る波しぶきによってそっと洗われる。それは、全般的に扉ほど大きい折れ戸或いは窓を持っている。それゆえに、その前面と側面で、それは三つの海の上を見渡しているように思われる、そして、その後には内部ホールを通した景色(二つの柱廊を持つ中庭)がある。そしてそのエントランスは遠方の森と山々を迎え入れている。
この左手に、そして海からの少しばかり奥に引っ込んだところに、広い寝室そして更にもう一つ別のより小さなもの (朝に、1 つの窓から差し込む光を通し 、他のものと共に夕刻の最後の光を保つ)がある;この窓からも、眼下に海の景色が見える(今度は安全な距離で)。
この部屋と食堂の角に、太陽の集中した暖かさを保ち増す場所があり、そしてこれが、冬期用の部屋と私の家族の体育室である(風は雨雲をもたらすものを除いてそこで聞かれることはなく、その場所は天候が崩れた後も使える故に)。
その場所の周りには、一つのアプス取り巻いて、太陽が動き回り、順にそれぞれの窓で照る様に、太陽の光を通す為に丸く建てられた、部屋がある(そしてそこには私が読むそして再読する本を収容する図書館の様な棚が取り付けられた一つの壁がある)。
隣には、床を上げ、熱い蒸気を通し、調整された温度でそれを循環させる為のパイプが設置された、通路の向こう側にある寝室の袖が続く。その家のこちら側に残っている部屋は、奴隷と自由民が使用するためのものであるが、しかし、それらの殆どは、来客を受け入れても、全く恥ずかしくないものである。』
その書簡の残りの部分で、プリニウスはさらにその建物の中核の他の側に建てられた部屋について述べている。次に彼は浴室について述べる :
『次に、冷浴室(フリーズ )がある。それは大きく、広々としており、向かい合った壁から増築された2つの湾曲した浴室場を持つ ) である ;これらは、海がとても近くにあることを考えれば、全く十分な大きさである。
次に、浴室の為のオイリング・ルーム、暖房炉部屋、そして高熱部屋 (ヒポカウストゥム)、さらに、シンプル様式で美しく装飾され、そこから遊泳者は海を見る事ができる、実に見事な、温水プールに通じる二つの休憩室、がある。
直ぐ傍らには、落日の十分な暖かさを受け取る舞踏会場がある。ここには、上下にそれぞれに(海の広がり全てとその美しい家を持つ海岸の広がりを眼下に見下ろす食堂と同様の) 2つ居間をもつ二階建ての建物がある。』
典型的美食家、プリニウスは、ラウレントゥムのツゲ、ローズマリー、ブドウの木、ブラックベリーの茂み、そして無花果の木でつくられた庭と散策路を持つ、このヴィラによって与えられた喜びを、数え上げ続ける。彼は、『公共の建築物と同じくらいの大きさの』ヴォールトが架けられたクリプトポルティクスを微風のテラスの喜び、そしてパビリオンを、『遠くに海がざわめく』よりかかることのできるガラスをはめたベランダのある、『私自身が建てさせた故、偽りない、私の大のお気に入り』と言う。
全ての市民のエデンの園の概念
ローマのヴィラの魅力を掴むためには、ただこのポンペイ人の絵画をじっと見ればよい。
ヘルクラネウムの壁画
風景の中に大まかに配置されたヴィラとその柱廊が描かれた鮮やかに彩色されたヘルクラネウムのスケッチ。遠くに送水路が見える。