比較建築研究会の目的

 建築史家は、ある時代・地域の建築を際立たせる為にその建築の独自性・特殊性を誇張する。研究者はもちろん歴史的経緯を知り、般的概念を持つ中でそれを謳うのであるが、我々creatorにはそれが見えて来ない。特殊性ばかりが目立つそれに、うろたえるばかりである。まるでそれらがお互いに無関係で、時間の流れの中にポツリポツリと浮かび漂う小舟の様な印象を受ける。比較建築研究会の趣旨は、逆に、このようにして見捨てられたそれらの般的概念・類似性に目を向け、地域的・時間的にその連関を探る。繋がり繋げて、現在の我々の所まで引き寄せる。流れの中で再度見れば、その建築の素晴らしさ・歴史的意義もよりはっきりと見えて来るのではないか。またそれによりある意味で人格をもった建築のその創造の過程が見えて来るのではないか?一見無関係に思えるローマ・イスラム・ゴシックなど過去の建築、そしてそれらと現代建築とのリアルな関係が!共振する関係が!分かるのではないか?比較建築研究会は、そういう思いの中で、「全ての建築史研究の成果は建築家に帰すベきである」という理念の元に設立した、Creator建築家の為の研究会である。

20230307一部改

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