スペイン出身のローマ帝国皇帝

あまり語られることはないが、スペインは五賢帝のうち、3人もの皇帝を輩出している。
ローマ支配下において、現在のアンダルシア地方にあたるバエティカ州ではローマ化が著しく、ラテン語 やローマ市民権の普及もローマ支配下のいかなる地域よりも早かった。逆に言えば、カルタゴの属州時代からこの地域の文化レベルはもともとローマの文化・文明をたやすく受け入れることが出来るほど高く人材にも恵まれていたといえる。
ゲルマン人侵攻の時代に壊滅的な破壊を被ったとされ、西ゴート族はその文化・文明をものにすることはできなかった様であるが、一時東ローマ帝国に奪還された地域がここに限定されたのも、地域的な文化レベルの高さがそれに関係しているのかもしれない。後の時代の後ウマイヤ朝の本拠地、またレコンキスタで唯一残されたナスル朝がこの地域に重なるのも、カルタゴ時代から連なる民衆の知的レベルの高さ故なのだろうか? 為政者が変わろうとも地域の民衆の力、人材の力がその地域の繁栄を支えたと言える地域であろう。


地域が繁栄するには、統治者だけではなく、国を支える被統治者である民衆の有能さにその拠り所が求められる。

皇帝
トラヤヌス イタリカ出身/在位98‐117年。五賢帝の第2番目。ヒスパニア(スペイン)のローマ植民市イタリカ出身。優秀な軍人で東方やゲルマニアで軍功をたてた後、97年上ゲルマニア総督となり、その在任中ネルウァ帝の養子かつ後継者に指名され、98年ネルウァの死後、最初の属州出身の皇帝として即位した。
ハドリアヌス イタリカ出身/在位117‐138年。五賢帝の第3番目。ヒスパニア(スペイン)の出身でトラヤヌスの庇護下で育てられギリシアの学問を学んだのち、軍事・行政職を歴任した。
マルスク・アウレリウス スペイン出身名門の家系/在位161‐180年。五賢帝の最後。8歳で神官、138年にアントニヌス・ピウスの養子になった。
テオドシウス一世 スペイン出身/在位379‐395年。将軍テオドシウスの息子としてスペイン北西部に生まれる。
テオドシウス朝の皇帝たち スペイン出身のテオドシウス一世直系の皇帝たち
著名人
セネカ コルドバ出身/前4-65。ローマ帝政初期のストア派哲学者、劇作家、政治家。スペインのコルドバに生まれ幼年時に弁論家の父老セネカと母ヘルウィアとともにローマに移り、修辞学、哲学を学んだ。
07/06/10
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