ノルマン様式の原点の謎 3 Dalmeny -http://www.undiscoveredscotland.co.uk/queensferry/dalmenychurch/index.html
ダルメニー(Dalmeny)の教区教会について、最も詳しく記述されているHPは、undiscoveredscotland.co.ukだろう。暫く見ないうちにHPが更新されており、内部写真や外部のディテールの写真などが追加されていた(2012/05/30)。文面は変わらずこの教会が建立されたのは、1160年頃とされている。但し、新たに分かったことがある。

南側のエントランスから入った身廊空間
東側を見る。奥のアーチの左側に入口が見える
身廊空間から西側のアプスをみる。奥の天井が交差ヴォールトになっている。

左上の写真が問題のエントランスから入った空間で、右側の写真はそこから西側のアプスを見た写真であるらしい。ここで気がついたのが、天井の構造である。左の写真では、木造の天井となっており、右側の写真では、なんとリブ付きの交差ヴォールトとなっている!メインの空間が木造で奥の天井がより技術的に難易度の高い構造となっているのだ。これは設計計画上全く不思議な構造である(設計者の意図が分からない)。

実は、この教会が何度が増築されたことが分かっている。一番新しい増築は右の写真でいうとアーチの左側にある木製のパネルが見える部分で、この北側の部分は1671年に建設されている。また左の写真に見える奥の部分(西側の塔の部分)も後の増築であると考えられいる。

この教会の構造はとても変則的であると前回に指摘したが、1160年に建設されたものであるなら、リブヴォールト構造があったとしても不思議ではない。しかし、そうであれば、その時期にどうしてエントランスを南側にもってくるようなことをしたのだろうか?とても不自然だ。前回の写真で示した様に地形的な要因でそうされたとは考えがたい、そもそも教会建築の形式に逆らってまでそんなことをするのだろうか?(ここでも設計者の意図が分からない) そして本当に、身廊の部分と奥廊の部分は同時期に建設されたものなのだろうか?

僕の仮説では、問題のエントランスがある構造体と、西側の構造体とは別の時代のものではないかと考えている。確かに、undiscoveredscotland.co.ukのHPにあるように、この教会が教会として建設されたのは、1160年であったかもしれない。しかし、その時期に建設されたのは、西側の奥廊の部分だけではなかったのか?そうして、それは教会とは別の目的で以前に建設された建物の増築ではなかったのではないだろうか?

そうすれば、教会のメインエントランスが南側にあったとしても、問題の身廊の上部構造と奥廊の上部構造に技術的な差があったとしても、不思議ではない。また奥廊の屋根が身廊の屋根より低くなっていたとしても、増築の工法としては、取り合いから極めて自然に思える。


南側のファサード(塔の右側にあるのが問題のファサード)

では、仮にそうだとして、いったいオリジナルの建物は何だったのだろうか?
いつ、だれが、何の目的で、建築したのだろうか?さらに謎は深まる!
続く、、、



2012/05/29
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