状況を楽しむ


 例えば、山を登るということは、頂上を目指す訳なのだけれど、僕には頂上を征服する達成感よりも、その過程をうれしく思う。
 登山は重力に逆らう訳だから当然困難が伴う。体への負荷も大きい、危険も伴う。それでも状況に体の方が慣れてくると、以前の体にあっては、苦痛であったものが、以前は知ることができなかったある種の新たな快楽となってくる。
 また辺りを見回すと、美しい樹木や草花、さわやかな風、おちゃめな小動物が心を和ませる。それらは頂上ばかりを眺めていては知ることができないものたちだ。そこでもまた心に変化が、、、。
 高い目標を達成しようとするとき、それが高いほど、自分にはできそうもないと思うのは当然なのだけれど、しっかり心に留めておきさえすれば、諦めずに近づこうとしさえすれば、その過程で自らも変化する。苦痛であったものも快感に変わる。高かったものが低く見えてくる。 
 苦痛や快楽も含め、自身の変化に恐怖せず、その自己変化の状況を楽しむこと。今その時を生きる、ということは、そういったことかも知れない。
02/05/10 (金)
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