マドラサ・アル・フィルダウス/Madrasa al-Firdaus  1235/36
アレッポの南に、サラーフ・アッディーン(サラディーン)の弟、マリク・アル・アーディルの娘で、サラーフ・アッディーンの息子、マリク・アル・アーディルの妻、ダイファ・ハトゥーンによって、建てられたマドラサ。1235/36年が竣工年(1223年?着工の説あり)とされている。その名は「天国のマドラサ」の意。建物は対称なプランで、長さ57m、幅45m。内部には22m角の中庭があり回廊が廻っており、中央には泉がある。屋根には、同じ直径の11個のクーポラ(ドーム)を持つ。煉瓦の建物によってインスピレーションを得たペルシャの形態(イーワーンムカルナス)とローマとビザンチン帝国時代にその因のある石積みのシリアの伝統の融合の好例。

アル・フィルダウスの外観。屋根のドームが見える。内部構成からは想像がつかない禁欲的な外観を示している。

アルフィルダウスの縦断面図と平面図:イーワーンの前は、授業の為の場所として使われた。
1.正面玄関 2.ポルティコ 3.中庭 4.清めの池 5.内部のイーワーン 6.外部のイーワーン 7.キューポラの列のある2つの奥の間 8.小さな長細いモスク

中庭の蜂の巣形状で彫刻されたムカルナスで装飾された柱頭の詳細。ムカルナスの装飾は13世紀のイスラム世界に広まった。

イーワーンの前の、清めの池に通じる僅かに尖ったヴォールトが架けられたポルティコは幾何学模様の装飾が施された舗装された中庭を囲んでいる。

エントランスの上に、卓越した切石の技術が要求される石の彫刻のスタラクタイトがある。下に碑文が刻まれたヴォールトを覆っている。

建物の独創性の証であるクーポラを持つ部屋。 統一感のあるデザインの華麗なミフラブ。半円形のドームの周りでは、華麗な交錯したモティーフが施された多彩色の大理石が色の鮮明な対比をなしている。
参考文献:/ISLAM VOL.1 ;Henri Stierlin ;Benedikt Taschen
参考図版:/ISLAM VOL.1 ;Henri Stierlin ;Benedikt Taschen



05/10/23修正
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