Mudejar/ムデーハル
アラビア語の ムダッジャンmudajjan 「飼いならされた」から派生したスペイン語。キリスト教徒のレコンクィスタ(参照)以後もキリスト教徒の支配者に貢ぎ物を納めてスペインに残留したムスリムを指す。彼らは、イスラムの優れた文化・学問・技術を、中世スペイン、ひいてはヨーロッパ諸国に伝達した。

ムデーハル様式
再征服後のスペインにおいて、イスラム芸術の伝統様式を継承したキリスト教建築。トレド、セビーリャ、サラゴサ等の古都に残る大建築が有名であるが、北部スペイン、特にアラゴン地方に残る建築は注目に値する。
形態的特徴:
交差アーチおよび菱形網目アーチ、多弁形アーチ、馬蹄形アーチ。またそれとタイルを組み合わせた装飾的外壁。
ネットアーチあるいはリブ付ボールトを用いたドーム。
タイルやスタッコによるアラベスク模様。
彩色格子天井。

様式的展開
ムデーハル様式は12〜13世紀に、ロマネスク建築に取り入れられ(サアグン のサン・ティルソ教会、トレドのサンティアゴ・デル・アラバル教会と旧シナゴーグ、サンタ・マリア・ラ・ブランカ)、14世紀に、ゴシック建築と結びつき(グアダルーペ Guadalupe の修道院)、セビリャのアルカサルを経て、15世紀にイスラム的要素を加えたスペイン独自のゴシック大聖堂様式が完成された(トレド、セビリャ、サラゴサ、ブルゴス)。16世紀にルネサンス様式が入ってもムデーハル様式の要素は残り、構造の合理性よりも壁面装飾を好むイスラム的美の追求は装飾過剰なプラテレスコ様式となった。19世紀末のガウディの建築もムデーハル様式を反映している。

関連:イスラムスペインの様々な集団
参考文献:平凡社世界大百科辞典

関連サイト:
http://www.fiestasiesta.co.uk/architecture/mudejar.html
http://classes.colgate.edu/osafi/images/andalusia_page_2.htm
http://www.staragon.com/dga/teruel/DEFAULT.HTML
http://www.staragon.com/dga/mudejar/INGLES/default.html

2006/01/21加筆
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