ナイロメータ/Nilometer
カイロに面するロダ島の最南端の岬に、アッバース朝第10第カリフ、ムタワッキルによって、861年に建設が始められた水位計測器。建物の中心には、ナイル川の増水によって達せられた最大のレベルの読み取れる様に、美しい目盛りを付けられた八角形の縦柱があった。たて坑に示された数は、地方の特性に対してその年の税金を課す為に、カリフに報告された。アラブの著者によれば、ロダのナイロメーターは、建築家アフマド・イブン・ムハンマド・アル・ハシブと数学者アル・ファルガニ協力の成果であった。その事業は最終的に868年、当時エジプトを支配していたトゥルーン朝のスルタン、アフマド・イブン・トゥルーンによって完成されたと言われている。

建物を約12mの地中に下す為に、ボールト状のニッチが壁に加えられ、横からの圧力を受け、構造を堅固なものに補強した。その建築は3層からなり、各層はその前のものより狭く、ナイル川の水量の最も低いレベルまで下がっていた。そして一本の階段が井戸の底(2つのトンネルが水を導いた)に下りていた。右:ロダ島のナイロメーターの断面図と平面図

19世紀初期のものとされるルイス・マイヤーによる、器具が使われていた時代のナイロメーターの姿図。ポインテッド・アーチが見える。

ナイロメーターは巨大な切石の層で造られた。この背の高い8角形の柱はクーフィー文字で覆われた梁によって適所に据えられている。このアッバース朝時代の作品はおそらくアムド・イブン・トゥルーンによって完成させられた、古代エジプトの科学的伝統を継続しようとするムスリムの支配者の意向の証である。

参考文献:/ISLAM VOL.1 ;Henri Stierlin ;Benedikt Taschen
参考図版:/ISLAM VOL.1 ;Henri Stierlin ;Benedikt Taschen

05/10/19修正
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