ウマイヤ・モスク (Jami‘ al‐Umawi)
シリアのダマスクスにある現存最古のモスク。706‐714/715年にウマイヤ朝第6代カリフ、ワリード1世によって建設された。かつてローマ時代のユビテル神殿の聖域であった所に建てられ、しかも洗礼者ヨハネ教会の一部を転用している。中庭の三方にはピアとコラムとによるアーケードが設けられ、キブラ壁に平行して2列の列柱が走り、これを直角に横切った翼廊のミフラーブの前には、ドームが象徴的に架けられている。               

古代のテメノスに建てられたダマスクスの大モスクの鳥瞰。そのミナレットと高いクーポラは古都に聳え立つ。
そのバシリカに似た形態は度々論争を巻き起こした。(キリスト教のバシリカの側面の中央にエントランスを穿ってそのまま使っているという説)

唯一残された中庭の西面の回廊は古代ローマ時代の外観を残している。二本の円柱おきにある角柱のその連続は元の聖ヨハネ教会のテメノスの輪郭を描いている。右側の宝物庫の箱(8本の再利用された大理石の円柱の上に置かれた)は金色の背景にモザイクが施され、鉛で葺かれたキューポラを載せた8角柱である。 

ダマスクスの大モスクの礼拝堂の中央には華麗なモザイクに覆われたメインエントランスがある。3つのベイの上には3つの窓がある。ファサードは群葉のパラダイスと住居が描かれた装飾に覆われている。その上には古典ローマ様式のペディメントが載っている。

ウマイヤ・モスクの8角形のクーポラは1893年の大火災の後に再建された。ペンデンティヴに支えられたクーポラは中央の身廊の中心にある。それは礼拝堂の長方形の空間を2つの等しい大きさに分割している。

アンリ・スチルランによるテオドシウスの時代の(洗礼者ヨハネを奉納する)バシリカの再現プラン(中央)。アンリ・スチルランの説によると、古代のテメノスに建てられたこの建物は8世紀の初めにムスリムにより解体された。 現在のダマスクスのモスクのプラン。長方形の多柱様式のホールを持つ。3つのベイはキブラ壁に平行な大アーケードによって支えられている。                    
/出典:Islam vol.1 Taschen
05/10/13
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