ジーザ宮殿/Ziza Palace
シシリー島のパレルモに、グリエルモ2世(ウイリアム2世:英/ギョーム2世:仏))によって1166-1185年に建てられた、アラブの影響が顕著なノルマン・アラブ様式の宮殿。その名ジザZizaは、アラビア語のアル・アジーザ「輝かしきもの」を語源とする。(約40m×20m)の長方形の4階建ての建物。アラブの建築家と職人を使って建てられたと考えられている。

1階のポルティコ奥の一種のイーワーンの形のホールは、金色の背景の上に国王の狩りの場面を描写したビザンチン様式のモザイク細工で装飾されている。そのスタラクタイトヴォールトの下のモザイクは、飛沫をあげる噴水の上に架かっていた。そしてその水は、水路を流下った(ローマのネロのドムス・アウレアのロトンダで既に使われた装置)。2階でも、対称形のプランは繰り返され、そのピアノノビレの中央には、イーワーンのある豪華な謁見室があり、水道橋によって供給され、巧妙な仕掛けで給水された噴水があった。3階も同じ構造であったが、謁見室の上は何もない2層分の空間であった。アルコーブとイワーンのあるこの複雑なプランは4階で再び現れ、天井の大部分は素晴らしいスタラクタイトの飾り物で覆われていた。
ジーザ宮殿のデザインは、アシール(現代のアルジェリア)のジーリー宮殿(ノルマン人の攻撃の下で崩壊した宮殿)からインスピレーションを得たと考えられている。ジール朝の治下、その王朝の名前を示唆する、ジーリー宮殿は10世紀に建てられ、同じような対称な長方形のプランを持っていたが、それはずっと大きく、中央の24×22mの中庭(その端には3重のアプス形式のアウラレギラがあった)を内包した72×40mの大きさであった。

ジーザ宮殿のプラン。アルムラビデ朝時代のモンテアグドやムルシアのカスティリョ(城砦:スペイン語)の様な、アラブの宮殿の伝統を踏襲する対称形の長方形のプランである。アウラレギア(謁見室)の中央に、水力システムによって湧き出す噴水を持つ池がある。

パレルモのアラブ・ノルマン様式のジーザ宮殿の外観。
参考文献:/ISLAM VOL.1 ;Henri Stierlin ;Benedikt Taschen
参考図版:/ISLAM VOL.1 ;Henri Stierlin ;Benedikt Taschen


関連サイト:
http://www.archnet.org/library/sites/one-site.tcl?site_id=7589

http://sights.seindal.dk/sight/76_Zisa.html
http://www.mondes-normands.caen.fr/angleterre/histoires/index_histoires.htm

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