ちょっと似すぎ!?part3



今回は5年前に掲載したちょっと似すぎ!?part1の続き。
下の三枚の写真を見て欲しい!、、、、皆さんはどう思われるだろうか?

A B C
年代を確認すると、左から、Aの入口は8世紀末、Bの入口は10世紀末、Cの入口は12世紀中である。そのスパン300年。見ての通り、これはスペインのイスラム時代の建築物である、Aは、コルドバのモスク(メスキータ)の最初期のもので、他の後の時代に建てられた入口の手本とされたもの、Bは、Aを手本としてアルマンスールの時代というからその200年後に建てられたもの、Cはまたそれを手本として100年後に建てられたもの、、、、、、?としたいところなのだが、、、AとBは、同じ建物の部分にあるのだが、Cはそうではない、すると後の時代の他のモスクの一部であるかというとそうでもない、それではスペインにあるムデハル美術に影響を受けた教会であるのかと言えばそうでもない。実は、これは教会の一部なのだけども、スペインにはない。ではそれに近い現在の南フランスにあるのかと言えば、またそうでもない。一体これは、どこのものだろう?!

なんと、これは英国のスコットランドにある!一体どうゆうことなのか?

アルフィスと呼ばれるそのフレームの中にアーチが架けられた下の入口、その上の連続交差アーチ、Bとはアーチの下の柱の箇所数まで同じだし、Aとはアルフィスの上に庇がかかっているところも一緒、さらにアルフィスの両側には、アーチの架けられた窓が左右対照に設置されているところまで同じ、、、、。構成は全く同じであると言わざるを得ない!これは一体なにを意味しているのだろうか?

Cのその技巧の未熟さから、CはまるでAかBを手本として描かれたパターン・ブックから写し取った様にさえ思える。
Cについて説明すると、Cは実はスコットランドのエジンバラ市内にあるダルメニーという小さな村にある聖カスパート教会である。Scottish Church Heritage Research というホームページによれば、12世紀の初頭から中頃にかけてEarl Gospatricによって建てられたノルマン様式の教区教会であるとされている。これにはこの入口の部分のことについても書かれている(The carving includes figures, signs of the zodiac and hoodmoulds and string courses, with scroll and leaf patterns. The door is projected out of the wall ...)が、この構成自体がコルドバのものにそっくりであることは、全く触れられてない。不思議だ。これが初期ノルマン様式の保存状態の良い例であるとすれば、ノルマン様式自体がアンダルシアのモスクを模倣したものにならないのだろうか?

5年前に、「ちょっと似すぎpart1」では、英国ノルマン様式の形態とスペインのイスラム建築の形態との類似性を指摘したが、Cの写真を見ると、どうしても単なる偶然の一致とは思えない。建築では似た様な形態が全く別の場所で個別に発達する例もあるが、これをそう見做すのはあまりにも不自然だ。

この関係は、私の中では、もはや確信に至っている。後はそれがどういった経路で伝わっていったかである。

AとB/図版出典:MOORISH ARCHITECTURE IN ANDALUSIA TASCHEN
C/写真提供:homepage ほあぐら ロマネスク 


05/05/27

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