スペインを掌握したアラブ・ベルベル軍は、武力でスペインを抑えつけるのではく、シリアやイランのような東方の諸地域の征服での様に、都市、砦、有力貴族を単位として、各個と条約（スルフ）を結び人口に応じて貢納を条件に、住民の生命、財産、身分の自由、信仰を保証し、事実上の自治を与えた。この条約によって、アラブは原住民の既存の社会体制を温存しながら混乱を最小限に止め、征服を容易なものとし寄生的な支配者となった。その被征服民の中にピレネー山脈に近い地域を拠点とする伯爵カッシウスがいた。

参考文献：アラブとしてのスペイン（第三書館）
　　　　　http://en.wikipedia.org/wiki/Banu_Qasi

844年ヴァイキングの侵攻をとめた功績により人質の身分から解放され、アミールより愛妾アジャブを与えられる。父の死後ビグエーラ支配。871年サラゴサ支配し、上辺境区の大半を支配。872年事故死。

西ゴート系或いは旧ローマ貴族であったカッシウス伯は、714年にイスラームに改宗し、アラビア系の名、バヌ・カスィ（カッシウスの息子の意味）を名乗った。カスィー家の始祖。

トゥデーラを本拠地とし、スペイン第3の王を自称する。
842年トゥデーラ周辺略奪。843年コルドバ政府軍に敗れる。
850年サラゴサの代官に任命。バルセローナ攻略。
855年トレドの代官。
859年アストゥリアスのオルドーニョ1世の闘争に敗れる。
862年死亡。

874年コルドバ政府のワズイール（首相）に拿捕されるが、一族の助命で解放。882年の叔父のイスマイールをコルドバ政府の命で捕らえる。884年金貨1万5千ディナールでサラゴサを明け渡す。
アルネーム、タラリーナ、ビグエーラ、ナーヘラ、レーリダ、モンソーン、トゥデーラを支配。
897年イブン・ハフスーンと同盟しようとするが、898年サラゴサ攻撃中に死亡。

ルッブの後を継ぐが916年、ナバーラ王サンチョ・ガルセス1世との戦いでトゥデーラを包囲され死亡。

903年トレド市民に迎え入れられる。
トレド市民の反発があり、カスィー一族により暗殺される？

トゥデーラを本拠地とする。
897年、バルセローナ侵攻、伯ギフレ1世（ウィルフレド）戦死。897年トレド市民に迎え入れられ統治。898年父の死でトゥデーラに帰国。
907年、ナバーラ王サンチョ・ガルセス1世との戦いで死亡。

父の死後トゥデーラを支配。870年のアミール、ムハンマド1世の親征により捕虜となり873年3人の子供と共に処刑。

父の死後モンソーンを支配。
850年のコルドバ政府との和約で人質となるが後に解放される。
レリーダの町を建設し、871年サラゴサの代官。
アルフォンソ3世と同盟。

781年パンプローナはコルドバ政府の支配下に。カスィー家はパンプローナの代官を務める。799年バスク人に殺害される。

843年アブド・アル・ラフマーン2世と王子ムハンマド1世の親征ナバーラ王とムーサの連合軍を破る（その後一進一退）。850年の和約でムーサの子イスマイールを人質にしてコルドバへ連行。

ロンスヴォー(Roncevaux)の戦い
三度目の824年のロンスヴォーの戦いでは、カスィー家（イスラーム国）とパンプローナ朝（キリスト教国）の連合軍はフランス軍を撃退した。
778年の第1回目の戦いはローランの歌で有名であるが、これらの戦闘はイスラーム対キリスト教の戦いではなく、実際はフランク軍の侵略に対するスペイン連合軍の防衛戦争であった。

カスィー家の娘ウラカ
アストゥリアスのアルフォンソ3世の息子レオンのフルエラ2世（在位924-925）と結婚

924年、アブド・アル・ラフマーン3世の親征、カスィー家からトゥデーラを奪い、一族をコルドバに連行し、政府軍に編入させる。辺境の一部のカスィー家はキリスト教徒に改宗し、カスティーリャとナバラの貴族になる。

788年サラゴサを支配下に置く。
このころトゥデーラ（803年頃にムワラッド貴族アムルースにより建設）を攻略し本拠地とする。