カラ/Qala(アッバース宮殿/Palace of Abbasids) 13世紀前半
13世紀前半にアッバース朝第34代カリフ、ナーシルあるいは第35代カリフ、ザーヒルによってバグダードに建設されたマドラサ。その壮麗さから、カラあるいは「アッバース宮殿」と呼ばれている。ムスタンシリヤのように、この学校(およそ60m×42mの大きさ)は2層のアーケードを持っており、その背後に教師と学生のための部屋があった。中央の中庭の周りに構成された、この種のプランは、ペルシャが起源である。建物の背面が通りに面し、正面は中庭に面しているため、装飾は建物の外壁よりむしろ中庭に集中していた。ムスタンシリヤとの多くの共通点を持つこの建物の特有な装飾用の特徴はスタラクタイトで覆われた回廊にある。
アッバース朝の最期に、バグダッドで建設されたこの芸術は、ペルシャの影響だけでなく、13世紀の中期以前に発展し結実した様式美を表している。それはアラブの建築がアッバース朝の没落の後に、カイロのマムルーク朝(1250- 1517年)、モロッコのマリーン朝(1248 - 1465年)、グラナダのナスル朝(壮麗なアルハンブラ宮殿の創造者)によって創造されたモニュメントで経験する未来の展望を予感させる。

美しい煉瓦造のマドラサに「アッバース宮殿」という輝かしい名前が与えられた。中央の中庭には美しい軸上のイーワーンと大理石の鉢がある。



このマドラサにはポインテッドアーチを強調するトーラス(隆起)の縁取り(tori)がある。そのベイの頂部のティンパヌムはレリーフで飾られ、ニッチはスタラクタイトで覆われている。ムカルナスのシステムは主要なイーワーンを覆う半円形のドームから必然的に発達した。

/図版出典:Islam vol.1 Taschen

05/10/17修正
inserted by FC2 system