ちょっと似すぎ!? part14


多弁アーチの起原-帆立貝装飾(スカラップ)/Scalloping(Scallop)
アルアーシク宮殿のニッチの造形に関わる考察 その2


建物自体は現存していないが、ちょっと似すぎ!?part13であげたサーマッラーのアーシク宮殿のニッチのスカラップの先例がイラク博物(http://the.iraq.museum/)に現存する。元々アッバース朝第2代目のカリフ(在位754-775年)アル・マンスール時代のモスクに据えられたいたミフラブ(写真A)であるらしい(大理石製/8世紀)。この遺物は、崩壊寸前であるため判別しづらいアーシク宮殿のスカラップ装飾から多弁アーチの表出をより明快に示している。
さらに、その先例として、イスラム建築ではなく、ユダヤ教会でシナゴーグのトーラ・ニッチにも全く同じ形状のスカラップ形のニッチが登場している。このシナゴーグはドュラ・ユーロポスに現存し、3世紀のものとされている。但し、ユダヤ教のシナゴーグやトーラ・ニッチは、決まった形を持つものではなく、時代や地域によりその形態が当時支配していた王朝の文化を鮮烈に模倣するため、その形態がユダヤ教独自のものであるという訳ではない。この場合はむしろ当時その地方を支配していたローマ帝国の影響を反映した形態であると思われる。、、、、続く

A:アル・マンスール時代のミフラブ/8世紀
写真出典:
http://www.oberlin.edu/art/art.html
B:ドュラ・ユーロポスのシナゴークのトーラ・ニッチ/3世紀
写真出典:
Islam vol.1 Taschen


05/12/22
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